値下げは他社に任せて、自社は値上げに徹する。僕がコンサル生に相談を受けた時に伝える言葉は一貫して変わりません。自分が満足できる価格にするのか、業界の基準で価格を決定するのかの2択が考えられますが、モチベーションが保てないほどの利益ではビジネスのパフォーマンスも落ちてしまいます。

経験が浅い場合には、他社の打ち出している価格を参考にスタートすることで大きなミスを避けることができます。僕自身も、最初は周囲の相場に合わせていき、経験を積んでいく中で付加価値と共に新たなサービスを打ち出す時には価格を高めに設定していきました。

一度決めた価格を下げるのは非常に簡単ですが、上げるのは難しいものです。値上げはできれば避けたいと考えるのであれば、最初からお客さんを獲得するために業界基準を下回る価格で打ち出すのはやめておきましょう。

値下げ競争に参加してしまうと、僕たちのような小さな資本のビジネスは大企業の資本力には適いませんから、資金力勝負の末に撤退を余儀なくされます。価格競争に乗っかることによるデメリットは、利益そのものが低迷することと、価値よりも「価格」を購買基準にするお客さんが増えるためです。

値下げをせずに高値で売るとしたら、どこまで上げることが可能かという相談もよくあります。一言で言えば、「お客さんが納得する価格」であれば良いので、比較対象をずらすという発想も使えます。例えば、高機能な事務処理ソフトがあるとして、社員を1人雇うよりもずっと安いという表現を使えば、15万円でも20万円でも安いと感じる方はいます。

安いことが理由で購入された方は、後々も安さを基準にするケースが多いことからも、基準を「価格」以上に「価値」に求めてもらうように、わかりやすく伝えていかなければなりません。あなたのお客さんは、他の誰かのお客さんでもあるため、一度価格を下げてしまうと、かなり強いメッセージ性がない限りは常に低価格を意識せざるを得ない展開となります。

安さに興味を持つ人もいれば、安かろう悪かろうのイメージを持っている人も同じく大勢います。戦略上、利益0円、もしくは赤字になったとしても価格を引き下げてシェアを取ることもありますが、後に続く仕組みがすでに出来上がっていることが前提です。基本は、競合より高く売ることはできないか? 何を付加価値としてつけるかを考えましょう。

価格を上げただけで利益が倍増どころか、一桁違う結果になるということは珍しい話ではありません。競合他社が複数いる場合には価格の基準値を定めることができますが、独自の提案価値を持っている商品に関しては、テストをしてみなければわかりません。狙って打ち出すためにも、まずテストです。もしくは事前に、安いと感じる値段、相応と感じる値段、高いと感じる値段をモニターからアンケートで集めて、商品の改善に向けても意見をもらうと価格を固めることができます。

100円のカップラーメンに興味を持つ人もいれば、ファミレスに興味を持つ人、フランス料理に興味を持つ人もいます。その日の気分によって変わることもあります。そのためタイミングを掴みきるというのは困難なのですが、同じものを同じ労力で提供してもまったく結果が異なります。

安いから買ったのではなく、購入した結果、お得感を感じたという流れを狙います。得を感じる要素は価格だけではなく、3つのPEIに基づいた商品価値にあります。だからこそ、最初の提案価値を理解してもらい、体験価値では品質向上に努め、そして価格には代えられないと感じてもらう感動価値というそれぞれの価値向上に努めることが何より重要となります。

また、戦略ありきの値下げは著しい効果を発揮するケースがあります。顧客のライフタイムバリューを考えて、フロント商品は赤字でも良いので安くして見込み客の注意を引き、満足度の提供と共にバックエンドを随時紹介していくこともできます。後ろにどれだけの商品が控えているかという層の厚さが重要になります。

インターネット上では、クレジットカード決済が一般的に導入されていますが、実店舗では導入していないところもまだまだ多いのが現状です。そこで、スマホカード決済を導入してみましょう。Square、Coiney、PayPal here、楽天スマートペイといったスマートフォンがあれば利用できるカードリーダーがあります。また、24時間電話で注文を受け付けてくれるpapercallも扱う商品によっては非常に便利です。

決済手段を豊富に取りそろえることで、機会損失を最小限に留めるだけでなく、決済の選択肢が多い方がお客さんにも親切です。