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ノウハウコレクターの抜け出し方。知識が「凍結」する理由と、24年教えてきて効いた3つの手順

24年間、小資金マーケティングを専門として活動している菅智晃です。小資金で年商1億円事業を6つ構築した経験を踏まえて、運営12年目のマーチャントクラブでの出来事や、実体験で得た考え方をお届けしています。

教材を買う。講座に申し込む。本を読む。学んだ直後は視界が開けた気がするのに、3ヶ月後、何も変わっていない。それを何度か繰り返して「ノウハウコレクター」という言葉で検索しているなら、先にこれだけ伝えたいです。

あなたの学び方が悪いのではありません。講義という形式そのものが、「学んだ気になる」ようにできているんです。僕は24年間、教える側にも立ち続けてきました。教える側からしか見えない事実を、先に書きます。

知識は、使わないと凍結する。

この記事の結論

  1. ノウハウコレクターの正体は「凍結した知識の在庫」。足りないのは知識の量ではなく、自分の課題への接続
  2. 抜け出す手順は3つ。自分の課題を質問の形にする、合格ラインを理想の0.7掛けに置く、発表する場を先に作る
  3. 答えや指示を待っている限り、想像の範囲内のことしか起こらない。次の教材ではなく、いま持っている手札を切る

この記事では、講義を聞いた人の知識が3年後にどうなっていたかという実話から、抜け出すための具体的な手順まで書きます。「もっと学べ」とは一度も言いません。

こういう現場での判断や気づきは、非公開のメルマガ「THE GIFT」でも先にお届けしています。

では、本題に入ります。

3年前に教えたことが、質問として返ってきた

忘れられない出来事があります。ある会社の2日間の合宿で、僕は講義を一切しませんでした。代わりに、参加者全員に事前に「質問を30個書いてください」とお願いしたんです。11人で、300個以上の質問が集まりました。

その質問を見て、驚きました。ほとんどが、3年前の講義で僕が伝えたことだったんです。参加者の中には、3年前のセミナーに出ていた人が4、5人いました。当時、知識はたしかに入った。学んだ気にもなった。でも、使わないまま眠って、凍結していた。

教材・講座・本で学ぶ 分かった気になる(達成感) 自分の課題に接続されず、使わない 凍結 → 次の教材に手が伸びる 在庫だけが増える 出口は「もっと学ぶ」ではなく、「自分の課題に接続する」にしかない
図1. 知識が凍結する循環

知識は、冷凍庫の食材と同じです。入れた瞬間は新鮮でも、使わなければ凍ったまま。そして冷凍庫の中身は外から見えるので、「持っている」気になれてしまう。ノウハウコレクターの正体は、この凍結した知識の在庫です。足りないのは11個目のノウハウではなく、在庫を自分の課題に接続する作業です。

なぜ講義は「学んだ気」になるのか

講義を聞くだけだと、参加者は自分の課題として考えなくても学べた気になります。一般論として正しい話を聞いても、自分の商品、自分の導線、自分の集客にどう使うのかを置き換える作業を通らなければ、実践にはつながりません。講義の内容が正しいかどうかとは、別の問題なんです。

もう一つ、長時間の講義や合宿には、達成感という罠があります。丸一日学ぶと、それだけで頑張った感覚が生まれて、行動が後回しになる。合宿は特に、やった気になりやすい。だから僕は、その合宿で講義形式をやめました。

代わりにやったのは、1人1人の質問に答えながら、各自の一番売りたい商品を売るための導線に落とし込んでいく壁打ちです。2日目の午後、全員が自分の設計を発表しました。その精度に、僕が驚いたくらいです。しかも、参加者の数だけ事例が増える。他の人が何に悩み、どう設計したかを聞けるので、参加者全員が教材になる。講義を聞くだけでは、絶対にああなりません。

手順1. 自分の課題を、質問の形にする

紙に、自分のビジネスについての質問を30個書き出してみてください。書けるかどうかで、現在地が分かります。

すらすら書けない人は、知識が足りないのではありません。知識が自分の課題に接続されていないんです。学んだことを「自分の場合はどうか」に翻訳する作業を、一度も通っていない。逆に、質問が書ける人は、もう半分動いています。何が分かっていて何が曖昧かが、自分で見えているからです。

教える側から言うと、30個の質問を見れば、その人が何を理解していて何を理解できていないかがはっきり分かります。だから壁打ちが具体的になる。「悩んでいます」ではなく「ここで迷っています」まで書ける状態が、抜け出す最初の一歩です。

手順2. 合格ラインを、理想の0.7掛けに置く

ノウハウコレクターの多くは、完璧主義です。100点の準備ができるまで動かない。だから、次の教材に手が伸びます。「まだ知らないことがあるから動けない」という理屈が、いつまでも成立してしまう。

僕自身、2008年か2009年頃までは、ほとんど外注をしませんでした。自分の商品、セールスレター、制作物に作品としての思い入れが強くて、全部自分でやりたかった。でもそれを続けると、自分でしかできないビジネスを続けることになる。プレイヤーとしてはそれでもいい。ただ、経営者の視点で見たとき、それはいつまでも0点の会社です。

100点を待つ 準備、準備、また準備 「まだ知らないことがある」 次の教材へ(何も出ていない) 理想の0.7掛けで出す お客さんに価値があれば合格 市場の反応が返ってくる 直して、また出す(学びが接続される)
図2. 合格ラインの置き方で、学びが動くかどうかが決まる

そこで僕は、妥協点というより合格ラインを設けるようになりました。理想の0.7掛けくらいで合格。自分のこだわりから見れば100点ではない。でも、お客さんから見て十分に価値があり、ビジネスとして回るなら合格とする。この線引きができてから、僕は動けるようになりました。

ついでに書くと、自分でやるスキルと、人に任せるスキルは別物です。自分でできるスキルがどんどん上がっている人ほど、任せるスキルの経験値がゼロのままだったりする。任せることそのものを練習しないと、いつまでも外に振れるようにはなりません。完璧主義から抜けるのも同じで、0.7掛けで出すことを練習しない限り、100点待ちの癖は消えません。

こういう「動けない人がどこで詰まるか」の話は、メルマガ「THE GIFT」で先に書いています。

手順3. 発表する場を、先に作る

僕が独立初期に最初の大きな企画を動かせたのは、そのテーマに情熱があったからではありません。正直、本当にやりたいビジネスではなかった。動けた理由は一つで、協力者に依頼する段階で、販売日を先に伝えていたからです。

販売日を伝えることで、自分を追い込む。サボり癖のある自分を変える。人を巻き込み、プレッシャーを受けながら動く。そうしなければ途中で嫌になって、別の可能性を探してしまう自信があったからです。当時の僕にとってそれは勝負で、投げ出したらネットでは二度と再起できないくらいの気持ちでした。

そこで学んだのは、順番です。「学んでから出す」ではなく、「出すと決めてから学ぶ」。学びは、アウトプットの予定が決まった瞬間に、初めて自分ごとになります。宣言する。発表の場に申し込む。人を巻き込む。テーマ自体に興味がなくても、自分で作ったものが動き出し、協力してくれる人がいて、喜んでくれる人が増える。その循環を一度体験すると、どのテーマでも楽しくなります。

コレクターの学び方と、実践者の学び方を一覧にする

同じ教材、同じ講義を受けても、結果が分かれるところを並べておきます。

場面コレクターの学び方実践者の学び方
学ぶ前とりあえず良さそうなものを買う自分の課題を質問の形にしてから探す
学んでいる最中一般論として「なるほど」で終わる「自分の場合はどうか」に毎回翻訳する
学んだ直後達成感で満足し、次の教材を探す間髪入れず、小さく形にする
合格ライン100点の準備ができるまで出さない理想の0.7掛けで出して、反応で直す
アウトプット誰にも見せない発表の場を先に決めて、人を巻き込む
行き詰まったとき答えをくれる次の先生を探す自分で決めて、壁打ちで整理する

ノウハウコレクター度チェック

自分の状態を確認できる形にしておきます。当てはまる数が多いほど、次に買うべきは教材ではなく、発表の場です。

CHECK LIST

  • 買ったまま、最後まで見ていない教材や講座が3つ以上ある
  • 自分のビジネスについての質問を、30個すらすら書けない
  • 「まだ知らないことがあるから動けない」と、この1年で何度も思った
  • 学んだ内容を、誰かに話したり見せたりしたことがない
  • 100点にならないと出せない、と感じる制作物が手元に眠っている
  • 次に何をすればいいか、誰かの指示や正解を待っている
  • 3年前に学んだことを、今も「いつかやる」と思っている

最後の項目は、僕が合宿で実際に見たことそのものです。3年前に学んだことが、質問として返ってくる。責めているのではありません。講義という形式が、そうなるようにできているだけです。だから仕組みを変えれば、人は変わります。

僕自身も、本は買って満足するタイプです

偉そうに書いてきましたが、僕も本は買って満足するタイプです。それに、成功哲学を聞くと落ち込む。当てはまらないからです。僕には「午後6時より前には外に出ない」というルールがあって、たぶん多くの成功哲学から外れています。でも、自分ルールで結果を出せば、それが正解になる。合わない成功哲学に無理に合わせる必要はありません。

それと、1から10まで順番通りにやればゴールに着くような「答え」には、僕はあまりモチベーションが上がりません。むしろ、この技術を身につけたら何が起こるか分からないところに面白さを感じる。自分が打ち出した手札がいつ実るか分からない、その派生がどうなるか分からないところにテンションが上がる。

一方で、答え待ちの人が多いことには、ずっと危機感を持っています。指示や答えを待っている状態では、想像の範囲内のことしか起こりません。右へ行っても左へ行ってもいい。最初は型通りに集中してやることも大事ですが、その後は自分で選び、自分で決断していく。コミュニティのような場も、使えそうな情報を抜いていく、必要なつながりを求めるなど、自分軸で活用するものです。

よくある質問

Qたくさん学んでいるのに、なぜ動けないのですか?

学んだことが、自分の課題に接続されていないからです。講義は一般論として正しくても、自分の商品や導線に置き換える作業を通らなければ使えません。知識が足りないのではなく、翻訳の作業が抜けている。だから対処は「もっと学ぶ」ではなく、自分のビジネスについての質問を30個書くことです。

Q教材や講座を買うのは、もうやめた方がいいですか?

買うこと自体は悪くありません。順番の問題です。手元に凍結した知識の在庫があるなら、まずそれを一つ使ってから次を買う。冷凍庫を開けて、いちばん古い食材から調理する。使い切ってから買った教材は、自分の課題に接続された状態で入ってくるので、凍結しません。

Q完璧主義で、100点にならないと出せません。

合格ラインを「理想の0.7掛け」に置き直してください。自分のこだわりから見れば100点ではなくても、お客さんから見て十分に価値があり、ビジネスとして回るなら合格です。完璧主義から抜けるのは意志の問題ではなく練習の問題で、0.7掛けで出す経験を積まない限り、100点待ちの癖は消えません。

Q何から実践すればいいか分かりません。

発表の場を先に決めてください。順番は「学んでから出す」ではなく「出すと決めてから学ぶ」です。人に宣言する、発表の機会に申し込む、協力者に日付を伝える。逃げられない状態を作ると、いま持っている手札の中から自然と最初の一手が決まります。

Q一人だと、どうしても続きません。

それは普通です。僕も一人だとサボるので、販売日を先に伝えて人を巻き込みました。一人で続ける根性を鍛えるより、続かざるを得ない環境を用意する方が早い。質問を持ち込める壁打ち相手と、発表しなければならない場。この2つがあると、学びは知識で終わらなくなります。

Q今までの学びは、無駄だったのでしょうか?

無駄ではなく、凍結しているだけです。3年前に講義で聞いたことが質問として返ってきた人たちは、壁打ちで接続した瞬間に、その知識を使って自分の導線を設計し、発表までしました。在庫はあるんです。必要なのは新しい仕入れではなく、解凍する作業です。

まとめ。冷凍庫を開けて、いちばん古い食材から

ノウハウコレクターの正体は、凍結した知識の在庫です。あなたの学び方が悪いのではなく、講義という形式が「学んだ気になる」ようにできている。だから、もっと学んでも抜け出せません。

抜け出す手順は3つ。自分の課題を質問の形にする。合格ラインを理想の0.7掛けに置く。発表する場を先に作る。そして、答えや指示を待っている限り、想像の範囲内のことしか起こらないことを覚えておいてください。

必要なのは11個目のノウハウではなく、いま持っている手札をどう切るかを整理する壁打ちと、強制的に打席に立つ環境です。冷凍庫を開けて、いちばん古い食材から調理してください。

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マーチャントクラブ主宰 菅智晃

WRITER菅 智晃(すが ともあき)

マーチャントクラブ主宰。2003年からWebマーケティングの実務に立ち、2014年にビジネスコミュニティ「マーチャントクラブ」を開設。延べ参加者数9,576名。会員の商業出版は18冊、著書2冊・監修4冊。

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